中庭今日は、私も実行委員である恩師の回顧展を見に乃木坂に行く。
正式なオープンは明日からで、今日は内覧会とプレス発表があり、まだ時間前だけど早めに来た。
実は昨日の最終搬入確認に行けなかったので、今日は早めに来て、確認と誰もいない間に撮影しようと思ったわけだ。で、思った通り、まだ誰もいなく、無人の会場を撮影出来た。
ちなみに、恩師は家具のデザイナーだった(本人はデザイナーという言葉を嫌ったけど)。終始、家具を造りつづけていた。このような人は希有で、インテリアや建築ではなく、生涯、家具にこだわった人だった。
4F-014F-02監修は、世界的な日本の建築家であり、恩師と数々のコラボレーションがある、sakamotoさん、itoさん、そして、日本を代表する評論家のtakiさんが担当。発起人でもある。ちなみに、itoさん、takiさんも恩師だ。
会場は、3Fと4Fに分かれ、恩師の生涯を前期と後期に文節し、前期を4F、後期を3Fとしている。
その前期の4Fは、sakamotoさん事務所が担当。sakamotoさんとのコラボレーションは前期が多いので、そうなった。

ミリ椅子バード・ローズ前期の代表作、左が「台のような椅子」右が「バード・ローズ」。
家具の形式(タイプ)は、「台」と「箱」に収斂する。いわゆる、椅子とテーブルは「台」であり、収納家具は「箱」である。ならば、台は椅子となるのだが、ただの「台」では人は「椅子」と認識しない。では、どのような形態言語(トークン)を与えれば椅子となるのか。そのぎりぎりを狙ったものが「台のような椅子」。

バード・ローズは、合板の切り抜きで作られた。専門の技術や設備がなくとも、誰でも家具が作られることを提案した椅子。他方で、デザイン→生産→経済というメカニズムを批判している。

3F-013F-023Fは、itoさんの事務所が担当。後期を担当した。4F同様、itoさんとのコラボレーションは、後期に集中しているからだ。
前期は、合板や、スチールパイプといったシンプルな素材と形態を有し、恩師本人がそうであったように禁忌的で批判的な作品が多いが、後期は、人が変わったように色彩にあふれ爆発している。前期では消費社会を批判したのに、後期ではむしろ、消費社会を逆説的に引用しプログラムしている。

フロッグチェアハンナンチェア後期の代表的な椅子。左が「フロッグ・チェア」、右が「ハンナン・チェア」。
フロッグ・チェアは、itoさんの自邸のためにデザインされた。4本の脚にはダンパーが内蔵されていて、座るとグニャグニャ揺れ動く。カエル椅子の所以だ。
でも、あまりにグニャグニャ揺れ動くので座って何度もひっくり返ったそうだ。

ちなみに、有名な話で20世紀建築家の3巨頭の一人、フランク・ロイド・ライトがデザインしたオフィス・チェアが良くひっくり返るので、クライアントのユーザーがクレームを出したら、そんなはずはないと言ってやってきたライトが座ったら、見事にひっくり返ったという逸話がある。

ハンナン・チェアは、一見西洋の椅子だが、ある意味日本的な座面である。
良く見ると、座布団が幾重にも積み重なって出来ている。その座布団を異様なまでスケールアウトされたフレームが覆い支えている。色々な解釈があるが、個人的には西洋の古典的な「椅子」のタイプを批判しているものと考える。確かに形式としての「椅子型」(タイプ)から立脚しているが、現実の形態言語(トークン)としては、そこに現代の消費社会と日本という曖昧な文化がプログラムされると、このように歪むというアイロニーだ。

STIはい、これが監修の御三人。左からsakamotoさん、takiさん、itoさん。頭があがりません。
この後、パーティとなり盛り上がりました。
パーティ終了後、同じ実行委員会メンバーであるisajiさんと新橋のおでん屋に。実はbeachboyさんとisajiさんと私は、何を隠そう大学の同窓。私とbeachboyさんとが同窓と言うと、ウインド仲間は大抵腰を抜かす。それが面白い。なので、新しいメンバーが仲間に入ると、ここぞという時に打ち明ける。すると腰を抜かす。ああ、面白い。
ところで、おでんの写真撮るの忘れた!